著 者:ロイド・アリグザンダー 訳:宮下嶺夫 出版社:評論社 出版日:2008年11月30日 初版発行 評 価:☆☆☆ (説明) 1作目で主人公テオたちは悪役の独裁者からウェストマークの国を救い、2作目では大きな試練を乗り越えて隣国レギア王国の侵攻を押し返し、さて3作目の本書では..と期待が高まる。これまで2作それぞれ一件落着のハッピーエンドには違いない。しかし、大きな問題を抱えたままだった。それは、「君主制を残すのか、革命によって民主制を勝ち取るのか」という問題だ。ここには、著者なりの解がある。 前作の終わりで、アウグスタ女王が代表する王室と、平民の執政官3人という統治体制に達した。君主制と民主制の中間と言うか折衷案と言うか、ひとまずの解決策には違いない。英明な女王にも恵まれ、このままで王国の平和と安定が続いてもおかしくない。しかし、多大な犠牲の上に得た平和と安定は、一夜にして崩壊してしまう。 女王とテオ、革命家のフロリアン、今やゲリラの頭目であるジャスティン。微妙なバランスの上で成り立っていた協力関係も、結び目がほどけるようにバラバラになってしまう。事態が流動化すると、それぞれが最終的に目指すものに、それぞれのやり方で突き進んでしまう。 今回は首都マリアンシュタットが戦禍に見舞われる、市街戦だ。前作の山岳ゲリラのあり方も凄まじかったが、今回はさらに胸を衝かれる出来事が続く。訳者あとがきによると、著者自身の戦場体験、レジスタンス支援体験に基づくものだそうだ。フィクションとして楽しむも良しだが、国のあり方、命を賭ける価値があるものはあるのかなど、深く考えさせられる物語でもある。 ------------------------------------------------------------ 次のサイトでもっとたくさんの書評や感想を探せますよ。 (にほんブログ村) (人気ブログランキング)
投稿日時: 2009-07-02 23:47:09 【ブログへ行く】